中世の薬草♪

個人的に興味のある中世の薬草を、こちらでご紹介します。個人メモかも?

トウダイグサ

脱毛だけでなく皮膚を爛れさせる毒をもった「魔女の薬草」がある。 トウダイグサ科には、皮膚に害を与える有毒なものが多い。 ノウルシも同じ仲間である。 皮膚に塗っただけで爛れや水庖が生じ、口に入ると消化器を損ない、激しい下痢を起こす。 トウダイグ…

コルヒチンの用法

恐ろしいコルヒチンだが、昔から痛風の鎮痛薬として使われていた。 コルヒチンを服用して痛みが取れなかったら、それは痛風ではないというくらい、痛風向けの特効薬だそうだ。 しかも、19世紀に入って、このコルヒチンには染色体を倍加させる作用のあること…

悪魔のパン

イヌサフランはたいへんきれいな花を咲かせるが、特に種子や球茎にはアルカロイドのコルヒチンが含まれていて、その毒性はきわめて強い。 数粒の種子でも命取りになると言われている。 古代ギリシャの哲学者テオフラストス(紀元前370〜287年頃)は、奴隷が…

イヌサフラン

似て非なるものにつける接頭語である。 イヌホオズキのイヌも同じである。 イヌサフランの花はサフランによく似ているが、サフランはアヤメ科、イヌサフフンはユリ科で、まったく別な植物である。 つまり、イヌサフランはサフランとは似て非なるものなのであ…

ホウキの材料

エニンダはよく魔女のホウキの材科だと言われる。 エニシダの近縁種にドイツ語でヘーゼンギンスター(ホウキのエニシダ)、英語でコモンブルーム(普通のホウキ)といわれるものがある。 これはまさにホウキという名前がついているように、しなやかに伸びた…

エニシダ

堕胎に効く薬草は多い。 マメ科のエニシダもその一つである。 蝶の形に似た点っ黄色な花が満開になると、とてもきれいだが、その枝や葉にはアルカロイドが含まれている。 この毒成分は子宮を強く収縮させるので、陣痛促進剤になると同時に堕胎剤としても用い…

夜の陰

そのホオズキにイヌをつけたイヌホオズキは「魔女の軟膏」に欠かせない薬草として常に名か挙がる。 ナス科の植物は「魔女の薬草」と関係が深い。 ナス科という言葉には、ドイツ語で「夜の陰」、英語でも「夜の陰」という暗い意味がある。 イヌホオズキはそれ…

ホオズキの根

あの赤い独特な形で私たちに馴染みの深いホオズキの根も堕胎に使われた。 提灯のようになったその萼を開くと、中には真っ赤に熟した丸い実がある。 その実の中身を上手に取り出して小さな風船を作る。 これを口に入れてキユッキユッと鳴らして遊ぶ。 ホオズ…

イヌホオズキ

魔女の薬草が堕胎に使われた可能性は非常に高かった。 飛行用よりもはるかに需要があったと思える。 殺人も怖いが、出産で命を落とすことも妊婦にとって大きな恐怖だった。 現代とは違い衛生環境の整っていない時代にはなおのことである。 人々は安産を望み…

産婆について

産婆がやり玉にあげられるには、いくつか理由がある。 アダムとイヴは神の命令に背いて、食べてはいけない知恵の木の実を食べて楽園を追われた。 そのとき、神はイヴに「わたしは、あなたのみごもりの苦しみを大いに増す。 あなたは、苦しんで子を産まなけれ…

魔女の軟膏レシピ3

・新生児の肉・ケシ・イヌホオズキ・トウダイグサ・ドクニンジンこれらを煮て粥状にする。 身の毛がよだつような恐ろしいレシピである。 16世紀に活躍したスイスの医学者パラケルスス(1493〜1541年)が推理したものだそうな。 魔女の夜「ヴァルプルギ人の夜…

エンジェルストランペット

江戸時代に渡来したチョウセンアサガオは、栽培が難しいうえに薬用化するには採算が合わないということで、その後、日本ではほとんど見られなくなった。 しかし、最近は近縁種のエンジェルストランペットが一般家庭の庭先でよく見られる。 天使のトランペッ…

曼荼羅家華

ドイツ語では「棘のあるリンゴ」または「悪魔のリンゴ」とか「雷の球」と言うが、その由来はこの刺のある螬果の形にある。 日本にも江戸時代に入ってきている。 紀州の医師華岡青洲(1760〜1835年)は、6種類の薬草を調合して全身麻酔薬の「通仙散」を発明し…

チョウセンアサガオ

またナス科になるが、チョウセンアサガオの仲間も「魔女の薬草」として別格である。 チョウセンアサガオがヨーロッパに入ってきたのは比較的遅く、メキシコや北アメリカから17世紀になってもたらされたそうだ。 花はアサガオに似た大きなラッパの形で、螬果…

ベラドンナの名前の由来

ベラドンナは、英語では「命を奪うナス属」、ドイツ語では「気が狂ったサクランボ」という。 どちらも恐ろしい名前だが、学名のアトロパ・ベラドンナには負けそう。 アトロパは、ギリシャ神話の女神アトロポスから来ている。 アトロポスは未来の糸を断ち切る…

ハシリドコロ

ドイツ人の医師シーボルト(1796〜1866年)は日本にやってきたとき、ベラドンナを携えていたようだ。 そして、江戸の眼科医の前で実際にこれを使って眼の手術をしてみせた。 その効力に医師たちは驚嘆し、その薬草の名前を知りたがった。 シーボルトは差し出…

ベラドンナ

虞美人草のように花と女性を結びつける話は多いが、「魔女の薬草」と女性を結びつけるなら、そのトップはベラドンナだろう。 ベラドンナは「美しい婦人」という意味である。 鎮静作用が強力で、筋肉を弛緩させる。 葉や根の汁を目にさすと、ベラドンナの成分…

虞姫

中国は楚の国の武将項羽の愛人、虞姫の話もケシに関係する。 彼女は、項羽が漢の劉邦に負けて自殺したあと、自刃する。 その血の中に真っ赤な花が咲いた。 それが虞美人草、ヒナゲシだったという。 この自刃の話は史実ではないそうだが、いずれにせよ、虞姫…

ヒナゲシ

現在、観賞用に栽培されているケシの仲間はほとんどがヒナゲシ(ポピー)である。 ヒナゲシも、ケシの特徴として茎を折ると乳液が出るが、これには麻薬成分は含まれていない。 ケシは、すでに紀元前3000年頃、古代メソポタミアのシュメール地域で栽培されて…

モルヒネ

19世紀に入って、今度はオーストリアの薬剤師がアヘンから麻酔活性のあるアルカロイドを抽出し、それをモルヒネと名づけた。 少量なら脳に適度な作用をして鎮痛効果は抜群、快い陶酔感も味わえるが、アヘンよりも依存症状は強い。 19世紀中葉には、フランス…

ケシ

毒の効果が強ければ強いほど「魔女の薬草」としての評価は高くなる。 眠りや忘却をもたらすケシも地位の高い「魔女の薬草」である。 ヒナゲシあるいはポピーといえば可憐な赤い花を、ケシの種子といえばパンやお菓子を思い浮かべる。 ケシは、螬果と呼ばれる…

アサの用途

アサは捨てるところがないほど役に立つ植物である。 古代ローマの博物学者プリニウスは、『博物誌』(77年)の中で、ロープを作るのに最も適していると言っている。 アサの繊維は夏服の代表的な布地の材料になる。 実は七味唐がらしやパンのトッピングに使わ…

マリファナのもと

咲き始めたばかりでまだ受粉していない雌花の先端部から得られる樹脂に、テトラヒドロカンナビノールやその他の麻酔成分が含まれていて、これらが神経に強い影響を与える。 この樹脂を板状や棒状に加工したものがハシュシュであり、茎頂の若葉を刻んでタバコ…

インド産のアサ

インド産のタイマは特に活性成分が強く、時間の観念や感情のコントロールが失われ、夢幻の境地におちいる。 アサを収穫していると奇妙な発作に襲われることは昔から知られていた。 「アサ酔い」という言葉があるそうだ。 サンスクリットの写本に、タイマをベ…

アサ

空飛ぶ軟膏は、麻薬性の成分を含んだ薬草から作られたものだったと考えられる。 それらの多くは皮膚から吸収され、幻覚や飛翔感を生む。 こうして、身体に軟膏を塗り空を飛ぶ魔女というイメージが生まれた。 同じような幻覚症状をもたらすアサも当然ながら空…

魔女の軟膏レシピ2

・人間の脂肪 100グラム・高い純度のハシシュ 5グラム・アサの花を片手に半分・ケシの花を片手に半分・ヘレボルスの粉末をひとつまみ・挽いたヒマワリの種をひとつまみこのレシピも魔女の軟膏と伝えられているが、出所不明である。 見た感じでは、飛行用の可…

トリカブトの花

16世紀のこと、ある貴族が強力な解毒剤を手に入れたので、その効果を試してみたいと思い、死刑囚にトリカブトを飲ませた。 だが、解毒剤はなんの足しにもならず、死刑囚は苦しみながら死んでしまったという。 ひどい話である。 トリカブトの花は烏帽子に似て…

トリカブトの根

ところが、専門家の話ではトリカブトの根は臭くないという。 邪悪な魔女なら、きっと猛烈な臭気を発しているにちかいないと勝手に思い込み、だったら毒の強い魔女の薬草は臭くて当然だと考える人々がいたのかもしれない。 こうして、ありもしない説がまこと…

トリカブト

強い毒成分を含む薬草は殺人用に使われた。 キンポウゲ科のセイヨウトリカブトもその強烈な毒のために、魔女の薬草の一つに数えられている。 トリカブトの毒は古代から毒矢に用いられ、暗殺にも用いられてきた。 現代でも、これを使った殺人事件がしばしば起…

イエスの説教

イエスは人々に説教をするとき、日常生活に密着した譬え話をする。 このドクムギの警えは、人間がよい人間だったか悪い人間だったかは最後の審判のときに神が決めるのだから、神に引き抜かれないような生き方をせよということだろうと思う。 脱穀のときにい…

穀物の母

この塊は普通の穀物とは段違いに大きいので、ドイツ語では「穀物の母」といい、これが魔女のドクムギである。 芽が出たての頃は菌がついているかどうかわからないので、疑わしくてもそのままにしておき、脱穀するときに注意して取り除いたという。 新約聖書…

毒麦の菌

この菌は子嚢菌というカビの一種で麦角菌といい、オオムギやコムギなどイネ科の植物に寄生する。 生長した麦角は黒いバナナか牛の角のような形になり、よくライムギの穂の間に姿を見せる。 この麦角が秋になると地に落ちて、土中で冬を越し、春には小さなキ…

ドクムギ

ドクニンジンのように、名前にドクとついていれば有毒植物だとすぐわかる。 だから、魔女の薬草としてよく名の挙がるドクムギも毒成分を含んだムギなのだと思っていたが、そうではなかった。 れっきとした学名をもったドクムギもあるが、魔女の世界でいうド…

ドクニンジンについて

ドクニンジンはセリ科の植物で、その茎には赤色の斑点があり、夏に散形花序の白い花が咲く。 ドクニンジンにはアルカロイドのコニインが含まれている。 面白いことにドクニンジンの毒性は一定しない。 地上部分では日照の多寡によって毒の濃度が変わるので、…

ドクニンジン

ヒヨスと同様、ドクニンジンもカルダーノのレシピとロートリンゲンの壺に共通して挙がっているが、こちらの毒は猛毒の最たるものである。 この毒を服用すると身体が硬直し、足のほうから徐々に麻疎か始まり、最後は呼吸困難になって窒息死する。 しかも、死…

ヒヨスの花について

ヒヨスの花は黄褐色で鉢の形をしているが、花冠をよく見ると濃い黄褐色の脈がくまなく広がっていて、まるで生きた血管を見るようで、ちょっと気味が悪い。 中身も見た目も「魔女の薬草」にふさわしい。

アルカロイド家

例えていえば、アルカロイド家は恐ろしい家系で、この一家の数は多く、どれもこれもみな似たような、恐ろしい毒をもっている。 ヒヨスチアミンはアルカロイド家を代表する一員ということになる。 「魔女の軟膏」として挙げられた植物の多くが、ナス族の流れ…

アルカロイド

アルカロイドというのは、動物にたいして特別に強い作用をもっ塩基性窒素を含む有機化合物の総称で、そこには約2000種以上もの物質が含まれている。 なかでも強い毒性をもつものに、ヒヨスのヒヨスチアミンとスコポラミン、ベラドンナのアトロピン、トリカブ…

ヒヨス

ヒヨスは古代から魔法のカをもっ薬草だと認められていた。 それはヒヨスがもっている毒成分のためだった。 ナス科のヒヨスに含まれるアルカロイドのヒヨスチアミンやアトロビン、スコポラミンが副交感神経や中枢神経に作用し、重量感を喪失させ、宙を飛ぶよ…

魔女の軟膏のレシピ1

・ドクムギ、ヒヨス、ドクニンジン、赤と黒のケシ、レタス、スベリヒユをそれぞれ0.0648グラム用いる。 ・これらすべてを合わせたもの4に対し、油6を処方どおりに準備する。 ・この混合物31.103グラムにつき、テーバイの阿片1.296グラムを加える。 これは『…

空を飛ぶこと

現代では魔女の飛行は自由で素敵だというイメージがあり、そこから魔女になりたいと憧れる魔女ファンも生まれている。 でも、なんのために空を飛びたいのだろうか。 心地よい風に身を任せ、スカーフを靡かせ、素敵な音楽に合わせてホウキを操り、自由自在に…

空飛ぶ薬

もし彼らが魔女狩りの激しい時代に生きていたら、挙動不審で逮捕されて魔女裁判にかけられたかもしれない。 そうしたら強制されなくても、空を飛んだと言ったかもしれない。 かつて、このように空を飛んだと心から信じ、魔女だったと自白して抹殺されていっ…

軟膏の正体

これらの実験によって、軟膏の主成分が激しい浮遊感覚や幻覚をもたらす麻薬のような薬草だということがわかった。 では、「空飛ぶ軟膏」などなかったのか、あるいは、まったくの作り話だったのかというと、そうは口えない山もある。 「毒は毒をもって制す」…

魔女の軟膏

1925年、ドイツの薬理学者H・ヒューナーは、「魔女の軟膏」の重要な成分とみられるナス科の薬草エキスを皮膚になすりつけたところ、素晴らしい夢のような飛行体験をしたと語っている。 そして、夢の中でネコやフクロウなど動物の姿に変身したそうだ。 また、…

魔女狩りの実態

魔女は女性だけと思っている人も多いが、魔女狩りの激しかった時代には、男女の別なく、年齢や職業も関係なく、多くの人々が魔女として告発された。 その中には薬剤師や医者や学者もいた。 彼らならいかにもそれらしいレシピを挙げることができた。 あるいは…

魔女の飛行と軟膏

プレトーリウスは、身体に軟膏を塗らない場合もあるし、乗り物を使わない場合もあったと書いているが、魔女裁判によって魔女の飛行と軟膏が密接に結びつけられていった。 だが、肝心の軟膏がどんなものだったかはよくわかっていない。 それどころか、だいた…

審問官の質問

アルザス(現フランス)のコルマールに、魔女裁判のときに使った審問官の質問リストが残っているという。 それによると、たとえば「ホウキに塗った軟膏の原料は何か」「空を飛ぶときどんな呪文を唱えたか」という具合である。 そして、その答えは審問官が誘導…

魔女への偏見

ドイツの画家アルブレヒト・デューラー(1471〜1528年)は、雄山羊の頭に背を向けて逆乗りする凄まじい魔女を描いている。 スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤ(1746〜1828年)は、巨大な雄山羊の前で空を飛ぶ修行に励む裸の男女を描いている。 また、ド…

魔女像

17世紀のドイツの民俗学者プレトーリウスは、『ブロックスペルクの仕業』(1669年)でブロッケン山の「ヴァルプルギスの夜」について紹介している。 それによれば、魔女たちはホウキの他に、雄山羊や豚、火掻き棒などに乗り、裸でブロッケン山へ飛んでいった…

空飛ぶ軟膏

女主人が引き出しから軟膏を取り出し身体に塗っているのを、下男が覗いていた。 女主人はそのあとホウキにまたがり、呪文を唱え、煙突から外へ飛んでいった。 下男は友主人のあとについていこうと思い、彼女の引き出しから軟膏を取り出し、身体に塗り、ホウ…