中世の薬草♪

個人的に興味のある中世の薬草を、こちらでご紹介します。個人メモかも?

特異な力

キリスト教の時代になっても、5は特別な数字だった。 キリストが十字架にかけられたときに身体にできた5つの傷跡(5つの霊痕)と結びついた聖なる数字だった。 5枚の花弁をもつオトギリソウも特異な力をもった草と見なされてきた。 オトギリソウの葉や花には…

オトギリソウ

臭いの強いものも魔除け草になったが、葉や花弁の数とか根の形によるものもある。 クローバーのような3枚葉はキリスト教においては三位一体を表し、4枚葉も十字架を表すので聖なる植物とされ、魔除けに効くとされた。 5という数字も古代から聖なるものと見な…

カノコソウの根

セイヨウカノコソウの乾燥した根は強烈な臭いがする。 慣れないと鼻をつまみたくなる。 その強烈なれ大いのせいか、セイヨウカノコソウは魔女が呪術に使う「魔女の薬草」とも言われている。 ドイツの薬草店でこの根を買ったことがある。 わずかな量だったが…

カノコソウ

ハナノッカと一緒に魔除けにされたセイヨウカノコソウはオミナエシ科の薬草で、ドイツ語でバルドリアン、英語でバレリアンと言う。 中世では修道院の薬草園で盛んに栽培された。 鎮静と睡眠効果が抜群である。 食欲を抑える効果もあるという。 現代でも重宝…

ハナハッカとニガハッカ

グリム兄弟のハナハッカとニガハッカが産婆や産婦の魔除け草だったという話がある。 たとえば、昔、ハレ(ドイツ東部の町)に住んでいた産婆が、男の水の精に呼び出され、川底に棲む彼の妻の出産を手伝うことになった。 産婆は親身になって手を尽くしたので…

魔除けの品

キリスト教と悪魔について研究していた18世紀初頭の学者シニストラリによれば、中世には悪霊を退散させるための飲み物が作られたが、その材料は興奮剤や催淫剤に使われる薬草だったと言っている。 ショウブ、ショウガ、シナモン、クローブ、ビャクダン、ナツ…

魔除けについて

14世紀中頃のヨーロッパでは、黒死病といわれたペストが蔓延し、人口は約3分の1になってしまったという。 人々は、誰かれなく襲うペストの猛威を前に死の恐怖におののいた。 魔除けが必要とされる時代だった。 キリスト教社会では十字架が最も効果的な魔除け…

魔除け草

いつの時代でも、どこの国でも、人々は天災や疫病から逃れ、病気にならず健康で幸せな人生をおくりたいと願っている。 迷信だと承知しながらも、旅行や受験のときにお守りを身につけたり、お正月に破魔矢を買う人も多い。 お守りや護符にあたる魔除けを、ド…

マツバボタン

スベリヒユ科のマツバボタンも茄でるとヌルヌルする。 わざわざ食べるほど美味しいかどうかはわからないが、これは解毒剤に欠かせない薬草だそうだ。 9世紀頃にアラビアで活躍した錬金術師にして農学者のイヴン・ワッシーヤが伝えるところによれば、解毒剤に…

スベリヒユ

スベリヒユも魔女の軟膏とは縁遠いように思われるが、レタスよりは関係がありそうだ。 軟膏を作るときは塗りやすくするために脂を入れる。 スベリヒユの葉は茹でるとヌルヌルするので、その役目を担っていたのかもしれない。 スベリヒユと書くと外国語のよう…

チシャ

チシャは紀元前6世紀にペルシャからギリシャ、ローマを経由してヨーロッパに入ってきた古い薬草だが、球形レタスがヨーロッパで普及するのは16世紀からだというから、レタスは歴史的に新しい野菜である。 グリム童話に「ラプンツエル」という話がある。 ラプ…

レタスとスベリヒユ

「魔女の軟膏」に使われた薬草がすべて毒を含んでいるものとは限らない。 たとえば、カルダーノのレシピにあるレタスやスベリヒユがそうである。 なぜレタスが魔女の軟膏に入っているのか、不思議な気がするだろう。 レタスというと、一般に球形のレタスを思…

形から連想される効能

ザクロの赤い汁は血を思いおこさせるので、血行障害や止血によいとされてきた。 ザクロのあの粒々の果実は歯を思い起こさせるので、歯痛に効くとも言われてきた。 それを色や形の類似による迷信として笑い飛ばす人もいるかもしれないが、ザクロの花にはたし…

ゴマノハグサの根

ゴマノハグサの花はどんよりした茶褐色で根は不快な臭いがし、有毒であるが、豚の疥癬治療の他にリンパ腺の腫れの治療にも使われたという。 ゴマノハグサの根はリンパ節に似たこぶし様の集まりになっている。 それで、そんなふうに連想したのだろうと昔の人…

魔女狩りの時代

16世紀から17世紀にかけてヨーロッパで起こった魔女狩りの時代には、都合の悪いことはみんな魔女のせいにする無責任な風潮があった。 バター作りは主婦にとって大切な仕事だったので、牛乳を腐らせたりバター作りに失敗したりすると、責任逃れに「そういえば…

西洋のゴマノハグサ

西洋のゴマノハグサは派子なジギタリスと比べると地味で見た目もよくないが、魔女の薬草に名を連ねているのだから、それなりに理由があるはずだ。 ドイツで現在活躍しているアロマテラピストのスザンネ・フイツシャー・リツィは、ゴマノハグサには「魔女草」…

ゴマノハグサ

茎に沿ってびっしり筒状の花を咲かせるジギタリスは華やかで目を引く。 このゴマノハグサ科のジギタリスも「魔女の薬草」の一つである。 心臓病の治療に効果がある配糖体を大量に含んでいるが、それゆえ素人が勝手に扱ってはいけない危険な薬草である。 同じ…

白いヘレボルス

一方、白いへレボルスと呼ばれているものはユリ科の植物で、日本のバイケイソウの母種である。 テオフラストスの言うように、白ヘレボルスは黒ヘレボルスとまったく違う。 葉を見ればユリ科とわかり、長く垂直に伸びた茎に、びっしりと白い小さな花を咲かせ…

黒いヘレボルス

イギリスの植物学者パーキンソン(1567〜1650年)は「正真正銘のヘレボルスはニガー種のもので、開花は短くクリスマスの頃に咲く」と言っている。 ニガーとは黒のことで、根の色が黒いということを表している。 クリスマスの時期に咲く根が黒いヘレボルスと…

ヘレボルス

「魔女の軟膏」には、加えて、クシャミをもよおさせる薬草も入っているから面白い。 それは古代からすでに名前の知られていたヘレボルスである。 中世では魔除けや狂気を治す薬として用いられた。 だが、このヘレボルスが具体的にどんな薬草を指しているのか…

トウダイグサ

脱毛だけでなく皮膚を爛れさせる毒をもった「魔女の薬草」がある。 トウダイグサ科には、皮膚に害を与える有毒なものが多い。 ノウルシも同じ仲間である。 皮膚に塗っただけで爛れや水庖が生じ、口に入ると消化器を損ない、激しい下痢を起こす。 トウダイグ…

コルヒチンの用法

恐ろしいコルヒチンだが、昔から痛風の鎮痛薬として使われていた。 コルヒチンを服用して痛みが取れなかったら、それは痛風ではないというくらい、痛風向けの特効薬だそうだ。 しかも、19世紀に入って、このコルヒチンには染色体を倍加させる作用のあること…

悪魔のパン

イヌサフランはたいへんきれいな花を咲かせるが、特に種子や球茎にはアルカロイドのコルヒチンが含まれていて、その毒性はきわめて強い。 数粒の種子でも命取りになると言われている。 古代ギリシャの哲学者テオフラストス(紀元前370〜287年頃)は、奴隷が…

イヌサフラン

似て非なるものにつける接頭語である。 イヌホオズキのイヌも同じである。 イヌサフランの花はサフランによく似ているが、サフランはアヤメ科、イヌサフフンはユリ科で、まったく別な植物である。 つまり、イヌサフランはサフランとは似て非なるものなのであ…

ホウキの材料

エニンダはよく魔女のホウキの材科だと言われる。 エニシダの近縁種にドイツ語でヘーゼンギンスター(ホウキのエニシダ)、英語でコモンブルーム(普通のホウキ)といわれるものがある。 これはまさにホウキという名前がついているように、しなやかに伸びた…

エニシダ

堕胎に効く薬草は多い。 マメ科のエニシダもその一つである。 蝶の形に似た点っ黄色な花が満開になると、とてもきれいだが、その枝や葉にはアルカロイドが含まれている。 この毒成分は子宮を強く収縮させるので、陣痛促進剤になると同時に堕胎剤としても用い…

夜の陰

そのホオズキにイヌをつけたイヌホオズキは「魔女の軟膏」に欠かせない薬草として常に名か挙がる。 ナス科の植物は「魔女の薬草」と関係が深い。 ナス科という言葉には、ドイツ語で「夜の陰」、英語でも「夜の陰」という暗い意味がある。 イヌホオズキはそれ…

ホオズキの根

あの赤い独特な形で私たちに馴染みの深いホオズキの根も堕胎に使われた。 提灯のようになったその萼を開くと、中には真っ赤に熟した丸い実がある。 その実の中身を上手に取り出して小さな風船を作る。 これを口に入れてキユッキユッと鳴らして遊ぶ。 ホオズ…

イヌホオズキ

魔女の薬草が堕胎に使われた可能性は非常に高かった。 飛行用よりもはるかに需要があったと思える。 殺人も怖いが、出産で命を落とすことも妊婦にとって大きな恐怖だった。 現代とは違い衛生環境の整っていない時代にはなおのことである。 人々は安産を望み…

産婆について

産婆がやり玉にあげられるには、いくつか理由がある。 アダムとイヴは神の命令に背いて、食べてはいけない知恵の木の実を食べて楽園を追われた。 そのとき、神はイヴに「わたしは、あなたのみごもりの苦しみを大いに増す。 あなたは、苦しんで子を産まなけれ…