中世の薬草♪

個人的に興味のある中世の薬草を、こちらでご紹介します。個人メモかも?

マンドラゴラの悲鳴

マンドラゴラが魔女の薬草の資格をもつのは、アルカロイドのアトロピン、スコポラミンという毒成分をもっていることもあるが、この人間に似た姿に負うところが大きい。 また、その根を掘るときの言い伝えが恐ろしい。 根は掘られるとき、恐ろしい悲鳴をあげ…

マンドラゴラ

マンドラゴラは魔法の薬草の王様である。 英語でマンドレー ク、ドイツ語では古代ゲルマンの予言者アルルナに由来してアルラウンあるいはアルラウネといわれている。 東地中海沿岸に起源をもっこの植物ほど妖しい伝説にみちた植物も少ない。 根は太く二股に…

魔法について

魔法という言葉は英語でマジック、ドイツ語ではツァオパーというが、どちらも魔法、魔術、妖術、呪術などと訳される。 魔法学校なら入学したくなるかもしれないが、妖術学校というと腰が引けそうだ。 呪術の呪も「呪い」なら怖いが、「おまじない」ならやっ…

薬草の魔力

「魔法の薬草」という言葉には何か人をワクワクさせるものがある。 魔法の薬草があったら、いったいどんな魔力を発揮するのだろう。 それを使えば、日常にはあり得ない不可思議な力が授かるのだろうか。 恋の悩みなんかあっという聞に解決するのだろうか。 …

シダについて

シダは、6月24日(ヨハネの祝日)の夜に花をつけ、同時に胞子を落とすと言われていた。 シダは顕花刷物ではないので、これはおかしな言い伝えだが、ともかく、この日、人々はシダの胞子集めに奔走した。 その熱狂ぶりはすさまじく、17世紀には、バイエルン(…

金曜に摘むシダ

シダは不思議な植物である。 おおよそ4億年前の大昔から生育し、ほとんど進化せず、絶滅もせず、今に至っている。 オシダとメシだは、分類されるグループも葉の形も違うが、昔はペアで魔王の草として扱われていた。 ヨーロッパのオシダは悪魔もこれを忌避す…

ヤネバンダイソウについて

ヤネパンダイソウは薬草としての効果もあり、サラダ、茶として活用され、口内炎、夜尿症、下痢、生理不順などに効くという。 真偽のほどはわからないが、ソバカス退治にも効くそうだ。 ヒルデガルト・フォン・ピンゲンの『フィジカ・自然の治癒力』によると…

木曜に摘むヤネバンダイソウ

木曜日に摘むベンケイソウ科のヤネバンダイソウは、家畜小屋や物置小屋の屋根に自生する。 ロゼット上の肉質の葉で、夏にピンクの花が咲く。 ドイツ語ではハウスヴルツとかダッハヴルツ(屋根の草)ともいう。 ヤネバンダイソウが屋根の上で花を咲かせると、そ…

セイヨウヤマアイについて

古代から婦人病、特に生理生涯に効くというので、薬用茶として利用されていた。 ただし、生の葉は毒があるので、乾かして用いるようにする。 ヤマアイに含まれている成分サボニンは、赤血球膜内のコレステロールと結合すると細胞膜を破壊してしまう。 口にす…

水曜に摘むセイヨウヤマアイ

水曜日に摘むトウダイグサ科のセイヨウヤマアイは、さまざまな治療に使われる薬草である。 学名のメルクルアリスだが、その語源については諸説あり、はっきりしたことはわかっていない。 メルクールは水銀を意味することから、この草が水銀を使う錬金術と関…

クマツヅラについて

クマツヅラは、中世ヨーロッパでは催淫効果があるとかで、結婚式にも使われたりしたようだ。 また、伝染病を防ぐ薬草として重宝され、魔除け草として認められていた。 ドイツには、子どもの洗礼のときにクマツヅラやチーズを子どもの身体に結びつけて魔から…

火曜に摘むクマツヅラ

火曜日に摘むクマツヅラは、古代では祭壇に飾る花として尊重されていた。 クマツヅラの花はとても可憐である。 真夏に薄紫色の小さな花を穂状に密集して咲かせる。 クマツヅラは、古代エジプトでは「イシスの涙」といわれ、儀式の際に燃やされた。 また、ロ…

ヒメハナワラビについて

ヒメハナワラピはシダ植物の一種である。 ワラビという名はついているが、ワラビ属とは別のハナワラビ属の一つである。 細い茎に沿って羽状の葉が伸びているのだが、その業はちょっと目には1枚には見えず、小さな葉がいっぱいついているように見える。 しか…

月曜に摘むヒメハナワラビ

月曜日に摘むというヒメワラビは、ある言い伝えによると、月夜に摘むのが魔除けとして最も効果があるという、ドイツ語でモーントラオテ、英語ではムーンワート、どちらも月の名がついていることから、月との関係の深さをしることが出来る。

出エジプト記

イスラエル人がエジプトを去ることをかたくなに認めなかったので、ついにエボバの神が立ち上がった。 彼はイスラエル人にそれぞれ自分の家の門柱と鴨居に子羊の血を塗るよう命じた。 それから神は「エジプトを打った」(出エジプト記12章17節)そのとき、この…

キクニガナ

日曜日に摘むとされたキク科のキクニガナは、すでに紀元前4世紀のエジプトのパピルス文書に、魔力をもった植物であることが記されているという。 旧約聖書によれば、イスラエル人がモーゼに導かれてエジプトを脱出する前夜、彼らは種なしパンと「苦莱」を食…

薬草を摘む日

薬草は人々の日常生活に大切な役目を果たしている。 だから、効果のあるときを狙って摘むことが必要である。 6月24日のヨハネの祝日は薬草摘みにとって最も大切な日だったが、曜日もまた重要である。 バイエルン(南ドイツ)大公の侍医ヨーハン・ハルトリー…

十字架に使われたヤドリギ

面白いことに、ヤドリギはもともとはちゃんとした独立した樹だったのだが、キリストを磔にした十字架に使われて、そのことを恥じ、身を縮めているうちに独り立ちできず寄生するようになったという伝説があるそうだ。 なんとも人間的なヤドリギである。 キリ…

ドルイドの儀式

ケルト民族のドルイド僧が行う儀式にヤドリギは重要な役目を果たした。 ドルイドが黄金の鎌を持って、神木であるオークの木に宿ったヤドリギを切り落とす。 下には実を受ける布が敷かれる。 この実をお守りにする。 ヤドリギはオークの木にはめったに宿らな…

ヤドリギの漿果

漿果は透き通った真珠みたいな粒で、それが細い枝の根元に固まっている様はなんとも一言えず神秘的である。 落葉した木に寄生しているセイヨウヤドリギをドイツで見るのは珍しくない。 別名「魔女のホウキ」という。 よくクリスマスツリーの飾りに使われる。…

ヤドリギ

ハシバミは人間の生活に密着した領域で力を発揮しているので、親しみがある。 だが、セイヨウヤドリギとなると神秘的な力が加わり、畏怖の念に近いものを感じさせる。 ヤドリギは不思議な植物である。 名前からわかるように、他の木に寄生してしか生きられな…

ハシバミとシンデレラ

灰かぶり(シンデレラ) は、旅に出る父から土産は何がいいかと聞かれて、帰り道で最初に帽子に当たつた木の枝が欲しいとお願いする。 それがハシバミの枝だった。 灰かぶりはそれを母の墓に植える。 すると、この木に小鳥がやってきて、灰かぶりに靴やドレ…

ハシバミとマリア

グリム童話にこんな話がある。 幼子イエスが昼寝をしている問、母のマリアがイチゴを摘みに森へ出かけた。 すると、草の中から恐ろしいヤマカガシ(蛇)が飛び出した。 急いで逃げたが、後を追ってくる。 そこで、マリアはそばのハシバミの薮にじっと隠れて…

ハシバミ

草だけでなく、樹木も魔除けの力をもっている。 たとえば、カバノキ科のセイヨウハシバミは魔力のある木としてよく知られている。 この木のもつ不思議なカはいろいろなところで語られている。

星の花

昔の平織はイラクサの茎の繊維で織ったという。 刺は、熱を加えるか、葉を乾燥させればとれる。 エリサがそれを知っていれば少しは薬だったろうに。 これとよく似た話がグリム童話にある。 『六羽の白鳥』である。 白鳥にされた6人の兄たちの呪いを解くため…

野の白鳥

アンデルセンの『野の白鳥』にはイラクサが呪いを解く草として使われている。 呪いによって白鳥にされた11人の兄たちを救うために、妹のエリサはイラクサで11枚の鎖雌子(鎧の下に着るシャツ)を編まなければならなかった。 親切な仙女がエリサの夢に現れて…

イラクサ

セイヨウイラクサはその刺のために呪いを解く力があると思われていた。 イラクサの葉はびっしりと刺毛で覆われている。 この刺には皮膚に炎症をおこすアセチルコリンやセロトニンなどが含まれているので、刺さったときの痛みはかなり激しい。 試しに触ってみ…

魔除けのオトギリソウ

赤い汁は気持ちが悪いということもあるが、その不思議さもあって、魔除け草としてのセイヨウオトギリソウの地位は高い。 病気をもたらす悪魔を追い払うカがあると見なされたり、落雷除けとして家の一戸口や窓に吊るされた。 このオトギリソウの力が最大にな…

靖頼の秘薬

オトギリソウは漢字で書くと弟切草である。 いったいなんだってこんなオドロオドロしい名前なのだろうと思わずにはいられないが、江戸時代の百科事典「和漢三才図会」(1713年)にその名の由来が紹介されている。 花山院(984〜986年)の時代に晴頼という優…

ヨハネの草

セイヨウオトギリソウはドイツ語でヨハニスクラオト、英語でセントジョーンズワート、どちらもヨハネの草という意味である。 ヨハネはヨルダン河でイエスに洗礼を授けたバプテスマ(洗礼者)のヨハネのことである。 彼は後にガリラヤの領主ヘロデ・アンティ…

特異な力

キリスト教の時代になっても、5は特別な数字だった。 キリストが十字架にかけられたときに身体にできた5つの傷跡(5つの霊痕)と結びついた聖なる数字だった。 5枚の花弁をもつオトギリソウも特異な力をもった草と見なされてきた。 オトギリソウの葉や花には…

オトギリソウ

臭いの強いものも魔除け草になったが、葉や花弁の数とか根の形によるものもある。 クローバーのような3枚葉はキリスト教においては三位一体を表し、4枚葉も十字架を表すので聖なる植物とされ、魔除けに効くとされた。 5という数字も古代から聖なるものと見な…

カノコソウの根

セイヨウカノコソウの乾燥した根は強烈な臭いがする。 慣れないと鼻をつまみたくなる。 その強烈なれ大いのせいか、セイヨウカノコソウは魔女が呪術に使う「魔女の薬草」とも言われている。 ドイツの薬草店でこの根を買ったことがある。 わずかな量だったが…

カノコソウ

ハナノッカと一緒に魔除けにされたセイヨウカノコソウはオミナエシ科の薬草で、ドイツ語でバルドリアン、英語でバレリアンと言う。 中世では修道院の薬草園で盛んに栽培された。 鎮静と睡眠効果が抜群である。 食欲を抑える効果もあるという。 現代でも重宝…

ハナハッカとニガハッカ

グリム兄弟のハナハッカとニガハッカが産婆や産婦の魔除け草だったという話がある。 たとえば、昔、ハレ(ドイツ東部の町)に住んでいた産婆が、男の水の精に呼び出され、川底に棲む彼の妻の出産を手伝うことになった。 産婆は親身になって手を尽くしたので…

魔除けの品

キリスト教と悪魔について研究していた18世紀初頭の学者シニストラリによれば、中世には悪霊を退散させるための飲み物が作られたが、その材料は興奮剤や催淫剤に使われる薬草だったと言っている。 ショウブ、ショウガ、シナモン、クローブ、ビャクダン、ナツ…

魔除けについて

14世紀中頃のヨーロッパでは、黒死病といわれたペストが蔓延し、人口は約3分の1になってしまったという。 人々は、誰かれなく襲うペストの猛威を前に死の恐怖におののいた。 魔除けが必要とされる時代だった。 キリスト教社会では十字架が最も効果的な魔除け…

魔除け草

いつの時代でも、どこの国でも、人々は天災や疫病から逃れ、病気にならず健康で幸せな人生をおくりたいと願っている。 迷信だと承知しながらも、旅行や受験のときにお守りを身につけたり、お正月に破魔矢を買う人も多い。 お守りや護符にあたる魔除けを、ド…

マツバボタン

スベリヒユ科のマツバボタンも茄でるとヌルヌルする。 わざわざ食べるほど美味しいかどうかはわからないが、これは解毒剤に欠かせない薬草だそうだ。 9世紀頃にアラビアで活躍した錬金術師にして農学者のイヴン・ワッシーヤが伝えるところによれば、解毒剤に…

スベリヒユ

スベリヒユも魔女の軟膏とは縁遠いように思われるが、レタスよりは関係がありそうだ。 軟膏を作るときは塗りやすくするために脂を入れる。 スベリヒユの葉は茹でるとヌルヌルするので、その役目を担っていたのかもしれない。 スベリヒユと書くと外国語のよう…

チシャ

チシャは紀元前6世紀にペルシャからギリシャ、ローマを経由してヨーロッパに入ってきた古い薬草だが、球形レタスがヨーロッパで普及するのは16世紀からだというから、レタスは歴史的に新しい野菜である。 グリム童話に「ラプンツエル」という話がある。 ラプ…

レタスとスベリヒユ

「魔女の軟膏」に使われた薬草がすべて毒を含んでいるものとは限らない。 たとえば、カルダーノのレシピにあるレタスやスベリヒユがそうである。 なぜレタスが魔女の軟膏に入っているのか、不思議な気がするだろう。 レタスというと、一般に球形のレタスを思…

形から連想される効能

ザクロの赤い汁は血を思いおこさせるので、血行障害や止血によいとされてきた。 ザクロのあの粒々の果実は歯を思い起こさせるので、歯痛に効くとも言われてきた。 それを色や形の類似による迷信として笑い飛ばす人もいるかもしれないが、ザクロの花にはたし…

ゴマノハグサの根

ゴマノハグサの花はどんよりした茶褐色で根は不快な臭いがし、有毒であるが、豚の疥癬治療の他にリンパ腺の腫れの治療にも使われたという。 ゴマノハグサの根はリンパ節に似たこぶし様の集まりになっている。 それで、そんなふうに連想したのだろうと昔の人…

魔女狩りの時代

16世紀から17世紀にかけてヨーロッパで起こった魔女狩りの時代には、都合の悪いことはみんな魔女のせいにする無責任な風潮があった。 バター作りは主婦にとって大切な仕事だったので、牛乳を腐らせたりバター作りに失敗したりすると、責任逃れに「そういえば…

西洋のゴマノハグサ

西洋のゴマノハグサは派子なジギタリスと比べると地味で見た目もよくないが、魔女の薬草に名を連ねているのだから、それなりに理由があるはずだ。 ドイツで現在活躍しているアロマテラピストのスザンネ・フイツシャー・リツィは、ゴマノハグサには「魔女草」…

ゴマノハグサ

茎に沿ってびっしり筒状の花を咲かせるジギタリスは華やかで目を引く。 このゴマノハグサ科のジギタリスも「魔女の薬草」の一つである。 心臓病の治療に効果がある配糖体を大量に含んでいるが、それゆえ素人が勝手に扱ってはいけない危険な薬草である。 同じ…

白いヘレボルス

一方、白いへレボルスと呼ばれているものはユリ科の植物で、日本のバイケイソウの母種である。 テオフラストスの言うように、白ヘレボルスは黒ヘレボルスとまったく違う。 葉を見ればユリ科とわかり、長く垂直に伸びた茎に、びっしりと白い小さな花を咲かせ…

黒いヘレボルス

イギリスの植物学者パーキンソン(1567〜1650年)は「正真正銘のヘレボルスはニガー種のもので、開花は短くクリスマスの頃に咲く」と言っている。 ニガーとは黒のことで、根の色が黒いということを表している。 クリスマスの時期に咲く根が黒いヘレボルスと…

ヘレボルス

「魔女の軟膏」には、加えて、クシャミをもよおさせる薬草も入っているから面白い。 それは古代からすでに名前の知られていたヘレボルスである。 中世では魔除けや狂気を治す薬として用いられた。 だが、このヘレボルスが具体的にどんな薬草を指しているのか…